専業ライターとの力の差

金曜日にちょっとした集まりがあり、日経ソフトウエア誌に寄稿しているライターの方々とお会いする機会があった。

自分が初めて雑誌記事を書いたのは同誌の2000年夏頃の特集記事で、その1年後に「オブジェクト指向は難しくない」というタイトルの連載(計8回)を担当した。このため、あの頃は特に、自分が駆け出しの半人前ライターであると強く意識していたことを思い出す。とはいえ今でも自分の原稿生産スピードが人一倍遅いことは自覚しているので、この感覚はほとんど変わっていない。

会場の都合もあって、来られたのは東京近郊の10数名の方だけだった。雑誌に記事を書くといっても、実際のやり取りは編集部の方と行うだけなので、ライター同士の横のつながりはほとんどない。このため、もともと個人的に知っている人以外はほとんど初対面である。2001年当時から看板記事を書かれている園田誠さんや丸山竜也さん、吉田育代さんなども参加されていたが、自分としては「駆け出しライター」であるという意識があるため、ちょっと近寄りがたい印象を持った。とはいえ、実際にはアルコールが入ったこともあって、この臆する気持ちはほとんど表面に出なかったと思う(笑)。また長期連載の「フリープログラマの華麗な生活」を書かれている中條達雄さんの実物にお会いできたのが嬉しかった。氏の連載には、毎号面白い写真が掲載されているため、ほとんど芸能人に会った気分である。やはりフリーライタープログラマの方々は、それで勝負しているだけあってキャラクタが立っている方が多い。

その場で、ライターに対して「いつから原稿を書き始めますか?」という質問が出た。その答えが、サラリーマンとの兼業ライターと、フリーの専業ライターとでくっきり分かれたのが面白かった。兼業ライターは早い人で4週間前、遅い人でも1週間前だったのに対して、専業ライターは早い人で3日前、遅い人はなんと当日(!!)だそうである。(ちなみに自分は最長の4週間前で、同僚の山本啓二さんは1週間前と答えていた。)

自分と専業ライターの方々との力の差は歴然である。3日前から考え始めて、8ページの記事を書き終えるなんてあり得ない。山田祥寛さんなどは20代ながら著書がすでに35冊あり、毎月の連載数本と、何冊もの書き下ろしのバックログを持っているそうである。自分の実力で35冊の書籍を書くには、どんなに頑張っても35年はかかるはずである。いやはや、どう逆立ちしてもフリーライターとして生きていくのは無理なことを痛感した。