気楽なゲラチェック

日経ソフトウエアオブジェクト指向特集のゲラ(下版)が上がってきたので校正をした。発売日までもう2週間しかない。今回は何かトラブルでもあったのだろうか、いつもよりゲラが上がるのが遅い。しかしこのスケジュール遅れに関しては、自分のせいではない(はずな)ので気楽なものである。

これは原稿を書くたびに味わう感覚だが、活字になった文章を見ると、なぜかあまり修正する気になれない。
これにはいくつかの理由があるように思う。
まず最大の理由はスケジュールである。雑誌の場合は、発売日を変更することができない。このため、スケジュールに影響を及ぼすような修正をこの段階で行うのは非常に厳しい。詳しい事情は知らないが、この段階では紙面割りも決まっていて、ページ数の増減も難しいようである。こうしたことは最初よくわかっていなかったが、執筆を何回か経験するうちに、ゲラへの指摘事項は修正が最小限で済むように配慮するようになった気がする。
またこの段階では、自分の関心が別の所に行っていることも多い。特に連載の場合、頭の中は次の原稿のプレッシャーで一杯になっているから、1つ前のほぼ出来上がった原稿の優先度はどうしても低くなる。
さらに活字になった文章は、自分の手から離れたものに思えることも原因かもしれない。不思議なもので、自分が生み出した文章のはずなのに、きれいに製本されてみると、別の人が書いた文章のように思えてくる。したがって、直すことをあまり意識せず、文章を素直に読んでしまうことがある。

いずれにしても、ここまで来てしまえばもう気楽なものである。何しろあとは放っておいても、編集部がなんとかしてくれるのだ。悩みながらゼロから文章を起こす苦労に比べれば、ゲラチェックなんて気楽なものである。

# ところで「ゲラ」って、やっぱり英語の"get up"のことなんだろうか?