連載最終回掲載号

ahirasawa2006-04-01


先週末は病気で寝込んだため1週間遅れの告知になってしまったが、日経ソフトウエアの2006年5月号*1が発売された。
(→日経ソフトウエアのページへ、→Amazonへ)

特集のタイトルは「GoogleAmazonYahoo!徹底活用 Web APIプログラミング!」である。APIというとOSやミドルウェアが提供する機能を指すものと思っていたが、最近ではこんな仕組みが提供されていることには感心した。自分は会社生活をリタイアしたら、シルバー世代限定のオープンソースコミュニティを作って、ボケ防止にプログラミングをやろうなどと密かに企んでいるが、こういう面白い仕組みを見ると今からリタイアしようか(笑)という気になる。

でもこのWeb APIに関してはちょっと疑問も感じた。GoogleAmazonAPIを利用してソフトウエアを作る開発者の側は面白いだろうが、結果としてAmazonYahoo!モドキのサイトが乱立してしまうのだとしたら少々困りものである。とはいえプログラマの意欲をそそるとても面白い仕組みだし、きっとこの仕組みからいろいろな技術やアイデアが登場して、さらに発展していくのだろう。


さて、自分の連載記事のタイトルは「UMLでロジカル・シンキング!」である。この企画、すなわちシステム開発のためのデータモデリングの話を続けた後で、最後に整理術としてのUMLモデリングを紹介する構想は、連載当初から練っていたもので、タイトルも早くから決めていた。途中いろいろ迷ったが、なんとかほぼ当初の構想通りに書けたので自分としては満足している。

悩んだのはロジカル・シンキングの扱いである。元々は、UMLモデリングを「複雑な物事の整理術」としても利用できることを説明したかっただけで、ビジネス・コンサルティングで使うロジカル・シンキングを解説する意図はなかった。「ロジカル・シンキング」という言葉は、たんに「論理的に整理する技術」という意味として使っただけである。

しかし記事を書いていて別の懸念が出てきた。それは2つの練習問題をそこそこうまく作れたため、“UMLモデリングなら森羅万象を整理できる”とミスリードしてしまう懸念である。DOAの人達はデータ構造設計の枠からはみ出さないが(数学系に走る人はいるようだが)、UMLモデリングだとデータ構造設計に限定する歯止めがきかないためか、森羅万象を表現する方向に走る人を今まで何度か見てきた。

そこでUMLモデリングでうまく整理できない例として「主婦の悩み」を持ち出し、MECEとロジック・ツリーで整理する例を簡単に紹介してみた。結果的に、記事としては詰め込んだ感じになってしまった気もするが、まあまあのバランスだったのではないかと思っている。何しろロジカル・シンキングの解説をきちんとやり始めると連載の主旨から逸脱してしまうし、このテーマに関しては会社の同僚が「ITアーキテクト」誌(IDG Japan)に別の連載を書いているから。

しかし、改めてこの記事を読んでみて、雑誌全体の中で「浮いている」感を強くした。今までも同じ感覚はあったが、特にこの最終回は「浮いている」感が際だっている。何しろ練習問題は「ビジネスにおける課題の答え」に「犯罪の成立要件」だし、記事の内容もソフトウエア開発とほとんど関係ない。ま、でも10回頑張って書いたんだから、1回ぐらい遊んでも許してくださいな。

*1:表紙画像の著作権日経BP社に帰属します。ここでは日経BP社からの正式な認可を得て画像データを掲載しています。