”が”の使い方

連載第4回の原稿を真島編集長に送ったところ、夏休み中にも関わらず、速攻で返信していただいた。いつものことだが仕事がテキパキしているので、とてもやりやすい。

いくつかの指摘の中で、”が”の使い方が不適切だというのがあった。これは少々意外である。なぜなら自分は、日頃から逆接以外のケースで”が”を使わないように意識しているつもりだからだ。しかし自分の書いた文章を読み返してみたら意味がわかった。問題は”が”を曖昧表現として使っていることではなく、逆接を連続させていることだった。つまり以下のような文章である。

自分は40年余り生きてきた、まだ若いつもりである。しかし肉体的には歳を隠せないところも出てきた。

確かに、こういう文章を読まされると「左を向いて、右を向いて、もう一度左を向け」と言われたような気分になるかもしれない。ということでこの部分は真島さんの指摘に従って修正することにした。

今回のような指摘は有り難いのだが、編集者の方の指導を受けたり、文章読本を読んだりすると、表現方法がどんどん狭まっていく感覚がある。

以前、別の編集者の方からは、受動態表現を極力使わないように指導を受けた。また数年前に『日本語練習帳 (岩波新書)』という本を読んだおかげで「〜のである」「〜のだ」という表現を使えなくなった。『日本語の作文技術 (朝日文庫)』を読んでからは、テンを乱用しづらくなった。(しかし、依然として、自分は、テンを、乱用している気がする)。またどこで習ったか忘れてしまったが、まともな文章を書く際には体言止めを使わないと心に決めている。

こんな自分を振り返ると、どんどん文章表現の幅が狭くなってきた感覚がある。果たして自分の文章能力は向上しているのか、はなはだ疑問に思えてきた。