免税店という名のデパート

ahirasawa2005-08-22


夏期休暇を取って南の島に行ってきた。海外といっても日本人観光客が大挙して押し寄せる所だし、現地の人と接する機会も非常に少なかったため、ほとんど名ばかりの海外旅行である。それでもドルを使ったり、片言の英語を喋ったりするのは気分転換になる。

海外旅行に行くと必ずと言っていいほど出会うDFS(Duty Free Shop)という店がある。空港や観光地のいい場所にドーンと大きな店を構えているし、成田空港でDFSのロゴの入った買い物袋を持ち歩いている人は少なくないので、知っている人も多いだろう。あの店は実に不思議な空間である。何しろ店内の案内や価格表示はすべて日本語が基本で、店員も全員日本語が達者だ。(少なくとも買い物に関しては)。客もほとんどが日本人で、他に見かけるのは、せいぜい韓国人か中国人ぐらいである。韓国や中国の人は一見すると日本人と区別しづらいこともあって、まるで銀座のデパートにいるような錯覚に陥る。これがアメリカだろうと、インドネシアだろうと、韓国だろうと、基本的に同じなのだ。

以前は政府公認の免税店なのだろうと思っていた。そう思った理由は自分でもよくわからないが、国際空港のいい場所に店を構えていることや、「免税店」というそのものズバリの名前からだと思う。しかし数年前に友人から、”あれはDFSという名前のただのデパートだよ”と教えられた。今回またそのことを思い出してネットで調べてみたら、確かにブランド品を扱うデパートだった。そして、あれだけ日本人好みの店を創り上げているので、日本の資本が入っているのかと思いきや、アメリカ人起業家によるものだそうだ。(現在はLVMH社も資本参加している。)
http://www.dfs.com/Galleria/Japanese/Global/Global_Global_Home.html

こんな風に批判めいたことを書いておきながら、自分も同僚に配るチョコレートはDFSで買ってきた。忙しいプロジェクトに関わっていながら、自分だけ夏休みを取ったことの罪滅ぼしに、高級なチョコレートを買おうという心理が働いたからである。やはりDFSの経営者のビジネスセンスは天才的である。

旅行先には原稿のネタ帳も持参したが、結局一度も開かずに終わってしまった。明日からまた会社と原稿書きの二重の仕事生活の再開である。次の原稿で悩む前にDFSのビジネスモデルに感心したことも自分にとってはいい気分転換なのかもしれない。