連載第9回掲載号

ahirasawa2006-02-25


日経ソフトウエアの2006年4月号*1が発売された。
(→日経ソフトウエアのページへ、→Amazonへ)

特集1のタイトルは「アルゴリズム入門」である。“こういう地味なテーマをきちんと取り上げるのはとてもいいことだと思う。特定のプログラミング言語や実装技術に依存しない技術の方が長く生き残るから。”などと思いながらページをめくってみたら、予想していた内容とはかなり違っていた。

最初の記事は検索エンジン、路線検索、おすすめ商品、自律ロボット、暗号メール、対戦ゲームといった身近な(または身近になりつつある)アルゴリズムを読み物として紹介する記事だった。2番目の記事は、定番とも言うべきソートや探索などのアルゴリズムの解説だったが、3つ目はまた少し趣向を変えてグラフィックスのアルゴリズムの紹介だった。アルゴリズムという切り口で幅広いテーマを取り上げる企画の鋭さには感心した。


自分の連載記事のタイトルは「時を超えるモデリングのテクニック」である。このタイトルは昨年夏ぐらいに思いついたものだが、今のところ連載の中で一番のお気に入りである。(今書いている最終回のタイトルも結構気に入っている)。記事で重要なのはもちろん内容だが、タイトルもそれと同じぐらい重要である。だってどんなにいい記事でも、読んでもらえなければ意味がないから。タイトルは、目次を眺めている読者に“読んで!”とアピールする重要な手段である。

今回は履歴の表現をテーマに取り上げた。第8回までで空間を表現するテクニックをひと通り紹介したので、最後に時間の軸を加えてモデリングのパターン噺(ばなし)もめでたく完結である。先月この記事を脱稿したときは、「20のパターンを軸にしたモデリングの問題集」という企画を書き終えたので、かなりの達成感を覚えたことを思い出す。

毎度のことだが、雑誌が発行されるのは自分が脱稿してから1ヶ月後である。このため実際の雑誌を手にしたとき、自分の関心はその記事から離れてしまっている。特に連載を書いていると頭の中は次の記事で一杯になるから、前回の記事を落ち着いて読む余裕もない。しかし来月は最終回だから、この時間差感覚を味わうのは今回が最後であることに気づいた。そう思ったら少しだけ寂しい気もする。でもこんな風に書いて、「じゃ、次の連載を始めますか?」なんて言われたら恐ろしいので、この話はなかったということで(笑)。

*1:表紙画像の著作権日経BP社に帰属します。ここでは日経BP社からの正式な認可を得て画像データを掲載しています。