連載第4回掲載号

ahirasawa2005-09-24



日経ソフトウエアの11月号*1が発売された。
(→日経ソフトウエアのページへ、→Amazonへ)

今回の特集は「Windowsプログラミング最新スタイル」である。最近すっかりVBVC++C#といったマイクロソフトのプログラミング環境にはご無沙汰しているが、自分はOLE2.0やVB6といったひと頃のマイクロソフト技術がとても好きだった。VS2005をきっかけに、またWindowsプログラミングをやってみようかな。とはいえ連載を抱えている状況では物理的にも精神的にも余裕がないため、サンデープログラミングなんて当面無理な相談である。


さて今回の記事のタイトルは「企業活動が見えてくる概念モデルの描き方」である。実を言うとオリジナルは「概念モデルを描けば企業活動が見えてくる」というタイトルだった。しかし目次には言い切り型の方がいいという編集部さんの判断で、微妙に変わった経緯がある。

内容は、以前も書いたように『オブジェクト指向でなぜつくるのか』の第9章「現実世界とソフトウエアのギャップを埋めるモデリング」の練習問題編といった趣である。パターンは中心となるイベントに対して、「いつ」「何を」「誰が」「どこで」を管理するモデルで、ビジネスアプリケーションでは典型的なものである。そして、オンライン書店、居酒屋チェーンの2つの題材を通して、ビジネスの特徴が概念モデル(データモデル)に映し出されることを述べ、最後に携帯電話の通話履歴のような高度な組み込みシステムにも応用できることを示して終わる構成にした。

併せてエンティティの名前付けの考え方とコツも紹介した。本来ならばコラムとして独立させたいところだが、囲みがやたらと多い記事なので、練習問題の解説に紛れ込ませた。

また以前のエントリ(id:ahirasawa:20050504, id:ahirasawa:20050523)でもさんざん悩んだパターン名称だが、結局またしても変えることになった。具体的には「行為と対象」「行為と主体」「行為と場所」を、それぞれ「イベントと対象」「イベントと主体」「イベントと場所」に変えた。もともと「行為」という言葉を選んだのは、「いつ」「何を(対象)」「誰が(主体)」「どこで(場所)」に対比させるには、動詞のニュアンスを持つ用語がいいだろうという判断からである。しかし次の第5回で取り上げる在庫管理や後続イベントの時に「行為と在庫」「行為と(後続)行為」となってしまうのは、あまりにセンスが悪い。そこで他の候補として、「イベント」「活動」「取引」「トランザクション」を考えた。しかし「活動」は大げさな感じだし、「取引」はビジネスアプリケーションに寄りすぎている感じである。「トランザクション」もコンピュータの中でコミット処理を行う単位のニュアンスが強い。したがって消去法で「イベント」を選ぶことにした。このことは今年の夏休みの旅行中ずっと頭の片隅に引っかかっていて、帰ってからすぐに真島編集長に連絡を入れたことを思い出す。

今のところ連載の中では、この第4回が一番お気に入りである。しかし読者からの評価はきっと高くないだろう。面白いことだが、今までの経験では、自分自身が気に入った記事よりも、アッサリと軽く書いた記事の方が評判がいいケースが少なくないから。

*1:表紙画像の著作権日経BP社に帰属します。ここでは日経BP社からの正式な認可を得て画像データを掲載しています。