成功と失敗を決める1%の原理

ahirasawa2005-08-08


オブジェクト指向でなぜつくるのか』の韓国語版が出版された。『なぜシリーズ』は、『成功と失敗を決める1%の原理』というシリーズになって、すべて韓国語に翻訳されている。(面白いことに日本の『なぜシリーズ』には含まれていない“Cプログラム編”や“CPU編”もシリーズに加わっている。)

この韓国語版の話は、1年前から知っていたことではあるが、やはり実物の本を見るととても嬉しい。昨年国内で本が出版されたときも感激したものだが、こうやって別の国の言葉に翻訳されてみると、また感慨もひとしおである。日々を暮らしていると、他の人に劣等感を感じたり、自分の思い通りにならず腹を立てたりすることも少なくないが、こんなすごいことがあると自分は幸せな人生を過ごしているのだと実感する。


本を手にしてまず気になったのは、第1章のウォーミングアップクイズである。自分が書いた選択肢は「グループサウンズ大ブーム」「ピンク・レディー旋風吹き荒れる」「バース、掛布、岡田の阪神タイガース日本一」「Jリーグ開幕」なので、他国では一つも通じない。そこで近所の馴染みの韓国料理店のマスターに自慢がてら見せにいき、ついでに読んでもらった。すると「中国との国交回復」「戦後初のオリンピック金メダル」などのニュースが選択肢になっていると教えてくれた。

またあの本にこっそり忍び込ませたイタズラがどうなったかも調べてみた。

第5章のメモリ配置の図(図5.15)には、エマーソン、レイク&パーマーというプログレッシブ・ロックの雄のグループ名を入れておいた。自分の好みならクロスビー・スティルス&ナッシュにするところだが、高校時代の友人がEL&PELTじゃないよ!)の熱烈なファンだったことを思い出して、彼へのメッセージとして入れたものである。この図は韓国語版でもそのまま残っていた。シメシメである(笑)。

もう1つ、自分と同世代向けに書いた、第8章のウォーミングアップクイズのスリーディグリーズスリードッグナイトは残念ながら、triple playerとthree friendsに変わっていた。お色気系の黒人女性ボーカルグループのスリーディグリーズや、1960-70年代にかけて活躍したポップグループのスリードッグナイトを知っている人にとっては、UML策定の立役者であるスリーアミーゴとのミスマッチで笑えるところのはずだが、翻訳者の方はご存じなかったのだろうか。ちょっと残念である(笑)。

イタズラではないが、第9章のクイズに書いた「始めチョロチョロ中パッパ、赤子が泣いてもフタ取るな」がどうなったのかは残念ながら理解できなかった。字面を眺めた限りでは、そのまま翻訳されている気がする。第3章の本文に書いた「鉄腕アトムが空を飛び」のくだりがどうなったのかも気になる。どなたかハングルを読める方がいたら、ぜひ教えていただけないだろうか。

ワールドカップの共催や最近の韓流ブームで、韓国との関係は以前より随分改善されてきた。とはいえ、相変わらず政治的、歴史的に複雑な関係にある隣国である。しかしこんな風に自分の本が翻訳されて、いくらかでも当地の技術者の方のお役に立てるのだとしたら非常に光栄なことである。